ボタンインコの飼い主さんの寄稿です
私はブルーボタンインコ(メス・2歳)を飼っています。名前はむーちゃん。
ラブバードが大好きで、ボタンインコを飼育したいとずっと思っていました。
そして2年前に我が家に迎えられる準備が整ったところで ボタンインコをお迎えしました。
ボタンインコの毛引き防止!やめさせるならフォージングがおすすめ!
「雛からお迎えして大切にお世話しよう!」意気揚々とペットショップに向かったあの日。
たくさんの鳥がいるショップ内の片隅に 隔離されて1羽でひっそりとたたずんでいるボタンインコが目に留まってしまいました。
「噛み癖と少し毛引きあり」と書かれて 値引きされていたボタンインコ。
その子は雛ではありませんでしたが お顔のかわいさも合間って運命の出会い的な感情を抱いた私は その場で即決でその子をお迎えすることにしました。
ショップから警告されていたむーちゃんの「噛み癖」は、お互いの信頼関係ができあがっていくにつれて 店員の忠告ほどはひどい状態にはなりませんでした。
なついてくれたからなのか? それとも時間が解決したのか? 理由はわかりませんが、噛み癖は自然となくなっていきました。
しかしもう一つ残された問題の「毛引き」はなかなか解決することができず、私は頭を抱えていました。
毛引き症のストレス原因になったフローリングワイパー事件
ある日 我が家で「ワイパー事件」と呼んでいる出来事が起こりました。
私がむーちゃんのケージの近くを掃除していたときに、私が持っていたフローリングワイパーを見てびっくりしてしまい、大きなストレスを与えてしまったのです。
そしてそのときを境に胸の羽毛の毛引きがひどくなっていきました。
「これはいけない!」と思い、それ以降は鳥のストレスになりうる刺激や嫌うものを見せないように気をつけていましたが、一度始まった毛引き行動は簡単にはおさまりませんでした。
毛引きがおさまった…と思ったところでまたひどい毛引きが再発する。
これを繰り返したことで毛引き行為がクセになってしまい、胸のあたりの羽毛の薄さが慢性化していました。
今思うと 毛引き行為を目撃した私が神経質になりすぎていたことも災いしたのだと思います。
むーちゃんが羽毛を抜くたびに 私は
…と大きな声で反応してしまっていたのです。
羽毛を抜くと飼い主が過剰反応することを 鳥が「注目されて嬉しい」「声を掛けてもらって楽しい」「飼い主が喜んでいる」と勘違いした可能性もあります。
注意喚起による学習は呼び鳴きだけでなく毛引きや自咬、痛がる声でも学習します。毛引きしてギャーっと鳴いた時に「どうしたの?」「やめなさい!」と声をかけていると、毛引きをしたら人の気を引くことができると学習します。毛引きに反応しないことも大切ですが、退屈な時間を作らない方が重要です。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) February 14, 2021
むーちゃんの場合は主に首元からお腹の下あたりまでが毛引きの範囲でしたが、幸い いちばん懸念していた皮膚の外傷(自咬症)までには至りませんでした。
毛引き症の原因を探るために小鳥の病院を受診してみた
愛鳥の毛引きを深刻に捉えてしまった私は不安に襲われ、毛引きの対処法をネット検索で探しまくりました。
すると 実際の効果や安全性などは定かではありませんが、たくさんの選択肢や対策があることが分かりました。
エリザベスカラーをつける
クリッカートレーニングを行う
フォージングトイで気をそらせる
エリザベスカラーは毛引きの根本治療になりません。着けても首や届く部分の羽は抜いたり齧ったりします。毛引きはストレス対処が目的ですが、それができなくなるだけでなく新たなストレスを与えます。自咬の時には着けないと齧り続けるので使いますが、ストレスが改善しないと外せばまた齧ります。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) October 9, 2021
また、毛引きはストレスだけではなく、病気が原因に挙げられることもわかりました。
調べれば調べるほど不安を感じた私は ネットの情報に頼り切ることをやめて 鳥類専門の動物病院を探して受診することを決めました。
ムーちゃんの毛引きはストレスだけではなく、何か病的な原因があるかもしれないと思ったからです。
そして小鳥の病院で受けた検査の結果は
・・・とのことでした。
そして獣医からのアドバイスは2つ。
飼い鳥は野生下とは違って退屈な時間が多いので 作業の時間を作ること。
この作業とはフォージング(フォレイジング)を指しています。
フォージング作戦成功!ボタンインコの毛引き行為が格段に少なくなった
その後 私はできるだけ鳥のストレスを軽減するために 放鳥の際にある程度まで自由にさせることにしました。さらに
…と考えました。
そして怖がる可能性が考えられるものは急に見せるのではなくて、段階的に少しずつ見せながら 自然に慣れていってもらうようにしました。
もちろん本当に苦手とわかっている物は隠してストレスを減らし、極力負担をかけないように心がけました。
獣医師のアドバイスを受けて、フォージングも日常に取り入れることにしました。
大好きなおやつをわざと取りにくいように紐に吊るしてみたり。


「簡単に餌やおやつが食べられる状態」ではなく「ひと工夫して食べてもらう」ように仕向けたのです。
フォージングは 本来の「餌を食べる気力」を失ってしまわないように 注意しながら行いました。
採食エンリッチメントは、いわゆるフォージングのことです。フォージングと認知エンリッチメントを同時に行えるのが、パズル要素の加わったフォージングトーイです。食事制限によって食事時間が短くなることを改善し、食べるために頭を使うことで多様性を引き出しています。https://t.co/tCsw0mjkrn pic.twitter.com/qnKdnRGRk3
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) October 5, 2020
病院のセキセイインコ、らおうちゃんのフォージング挑戦動画です。難易度が大分上がってますが、難なくクリア! pic.twitter.com/PhsjPIkUIF
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) May 28, 2020
餌入れに障害物を入れて餌を食べづらくしておくだけでもれっきとしたフォージングです。

するとむーちゃんはフォージング(フォレイジング)に楽しみを覚えてくれたようです。
あの手この手を使って餌探しやおやつゲットにチャレンジするようになりました。
餌探しに必死に挑んだり夢中になったりしている鳥の意識が 毛引きから餌やおやつへ向いてきたのが、飼い主の目からも明らかにわかりました。
このフォージング作戦が功を奏して、愛鳥が今までのように毛引きをすることが格段に減りました。
毛引きに悩んでいた当時は対処法をたくさん調べたり 鳥を飼っている友人に相談したりと右往左往した私ですが、鳥にも個体差があるので すべてがうまくいくわけではない…と思っていました。
だからフォージングに対しても半信半疑な部分もあったのです。
しかし実際にやってみたらフォージングがうちの子の毛引き症対策に一番合っている方法だとわかりました。
人と同じで鳥も十人十色(十鳥十色)無理のない範囲で色々な方法を試してみるのが良いです。
こちらは趾の鱗剥がしが見られるキエリボウシインコです。趾の鱗剥がしや自咬はボウシインコやボタンインコに発生が多いです。原因は毛引きと同じくストレスです。退屈の場合は暇潰しの一環としてやっていることがありますので齧る対象を自分ではなく齧り木やマンチトーイなどに向けることが必要です。 pic.twitter.com/ZTDGGvAWCA
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) September 8, 2021
以前に紙を取りあげられたコザクラインコが自分の羽を抜いて齧り、それを自分の腰に刺すことを始めたことがありました。意識は自分ではなく、なるべく外に向かせることが退屈の対処であり毛引きの改善法です。それは人や鳥とのコミュニケーション、フォージング、チュワブルトーイ、紙などになります。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) November 1, 2021
私もまだまだわからないことだらけですが、縁があった大切な家族と向き合い、お互いの負担の少ない形を見つけていけたらと思っています。