インコの保温器具の「保温電球」は定番なので使っている方が多いと思いますが、何ワットの電球を使っていますか?
電球を何ワットにするかを
…などと何とな~く決めているのだとしたら、それは間違った選び方ですよ…というお話です。
インコの保温電球のワット数の選び方と使い方!何ワットを使うべき?
インコ用保温電球のワット数は、20W〜100Wまでと種類が豊富です。
どのワット数を選ぶかは、飼育環境や季節、インコの体調によっても変化するので、一概には決められません。
たとえばいつもエアコンを使用して室内の温度を一定に保っているお宅の場合や、逆にほとんど暖房器具を使わずに無加温状態が多いお宅では、現在の室温が何度か?そこから何度温度を上げたいか?…によって選ぶワット数が変わります。
つまり室内の温度を把握しつつその時々に適したものを選ぶ必要があるということです。
インコの保温電球のワット数の選び方【屋内用アサヒ ヒヨコ保温球の場合】
公式参考温度:密閉型容器(W60×D45×H45)の場合
20W電球を使う場合
20W電球を使用する場合の目安は、外気温+4℃
保温の威力としてはこれが最低ラインであり、真冬の寒さ対策に向かないことは言うまでもありません。
春〜夏、夏〜秋などの季節の変わり目で少し保温が心配な時は 20Wでも対応できる場合がありますが、真冬に20ワット電球を使う場合には、エアコンやヒーターとの併用は必須となります。
40W電球を使う場合
40W電球を使用する場合の目安は、外気温+7℃
室内が20℃前後ある場合に、健康な成鳥であれば真冬でも問題なく使用できる使い勝手の良いワット数ですが、老鳥や病鳥、雛鳥など 30℃前後の温度を保ちたい時は、室温によっては40Wでは温度が足りない場合があります。
室温をこまめにチェックする必要があります。
60ワット電球を使う場合
60W電球を使用する場合の目安は、外気温+10℃
温度が高めのため、真冬の寒さ対策や老鳥や病鳥、雛の飼育で30度を保ちたい時には 使いやすいワット数ですが、逆に室温が高い時はケージ内が暑くなりすぎる場合があるため、注意が必要です。
温度の上がり過ぎが心配な時は、サーモスタットなどの温度調整器具との併用をおすすめします。
100W電球を使う場合
100Wを使用する場合の目安は、外気温+15℃
インコ用保温電球としてはいちばん高いワット数であり、室温が常に10℃前後の場合は100Wの使用が適しています。
しかし、時間帯により室内に温度差が生じる場合は真冬でも暑くなり過ぎる恐れがあり、インコが熱中症になる危険性がありますから、サーモスタットの併用をおすすめします。
上述の「外気温+〇℃」はあくまで密閉容器内での状態を基準にしているものですから、密閉容器(アクリルケージケース)をお持ちでない人にはこの限りではありません。
保温電球の熱が外部に逃げてしまい熱効率が低いことを考慮して、冬はエアコンを併用する必要があります。
ペットヒーターのつけっぱなしより可燃物を近づける方が火事になる可能性は高い
アクリルケースの代用として、ビニール・ダンボール・プラスチック板でケージと保温器具を囲っている人が多いですが、火災のリスクが高まるためおすすめできません。
もし囲うのであれば、ヒーターから15センチ以上の距離を開ける必要があります。
HOEIのおやすみカバーでさえ保温器具との併用をメーカーが推奨していません(←まったく気にしないで併用してる人は多いですが。併用するなら両者に距離を取ることが必須。)
つまり布一枚であっても 熱源を可燃物類で囲うことは危険だ…という認識が一般的だということです。
雛・病鳥・老鳥はヒーターを切ったら命の危機に瀕しますから 真冬にヒーターを切れません。保温電球をつけっぱなし(サーモスタット併用で)にするのはごく普通のことです。
ヒーターのつけっぱなしより可燃物をヒーターに近づけすぎることの方が危険。←神経を遣うべきはココです。
インコ用ヒーター火事の予防策と保温電球のワット数の過信は禁物な話
インコのプラケース保温でヒーター火事・事故・やけどを防止する方法
インコ用保温電球のメリット!ひよこ電球は鳥の保温に最も適したアイテム
インコ用保温電球は、電球の熱を利用して空間そのものを温めるので、鳥の保温に最も適しています。
空気を温めるため複数飼育におすすめ
インコ用パネルヒーターは部分的な保温しか出来ませんが、それに比べてインコ用保温電球は空気を温めるため1つのケージで複数飼育をしている場合にもおすすめです。
また、インコを別々のケージで複数飼育している場合でも、ケージとケージの間に外付けで保温電球を設置することができるため、使い勝手が非常に良く、コスト面でも優れています。
保温電球は温まるのが早くワット数の使い分けができる
インコ用保温電球はヒーターに比べて温まるのが早いのが特徴です。
電源を入れるとすぐに発熱を始め、数分で空間を温めることができるため、インコの体調が悪く早急に保温が必要な時にも活躍します。
インコ用保温電球は、20W〜100Wまでと、さまざまなワット数が販売されていますので、普段エアコンやヒーターを併用している場合は低めのワット数を選ぶなど、飼育環境に応じて電球を選ぶことができるのも魅力です。
電球自体は消耗品のため買い替えが必要になりますが、保温カバーは頑丈で作りもしっかりとしているため、半永久的に使用可能です。
インコが夜眠る時はケージ内を暗くするのが基本ですが、インコ用保温電球は僅かな光しか出さないため、インコの睡眠を妨げることなく保温することができます。
インコ用保温電球のデメリットと使用上の注意
インコ用保温電球のカバーは電球が温まると熱くなるため、設置方法や取り扱いに注意が必要です。
保温電球はケージの外に設置することが推奨される
インコの低温やけどを防ぐためにもケージの外に設置するのが基本です。
しかし飼育環境上ケージ内に設置する場合は、カバーの上部とケージとの間に出来るだけ隙間を作らないように設置し、インコがカバーの上に乗らないように工夫しなければいけません。
保温球は水がかかると破裂する恐れがある
保温球には特殊コーティングが施されているため割れにくくはなっていますが、水がかかると破裂する恐れがあります。
そのため水入れやバードバスの近くに設置することは控え、ケージの外に設置する場合でも配置場所に配慮が必要です。
保温カバーが熱くなる!可燃物を近くに置いてはいけない
インコ用保温電球はカバー部分が熱くなるため、溶ける恐れのあるものは近くに置いてはいけません。
また、毛布やビニールカバーが保温電球に触れると発火の恐れがあります。
夜におやすみカバーや毛布をかける際は、保温電球に触れないように設置する必要があります。
保温電球カバーの穴からゴミが入りやすいので定期的な掃除が必要
インコ用保温電球のカバーには、細かい穴が空いています。
そのため穴から埃や羽が入りやすく、そのままにしておくと火災の原因にもなり危険です。
こまめなお手入れが必要になりますが、埃や羽を取り除くにはカバーの蓋を外さなければならず、若干の手間がかかります。
インコがコードを引き入れてかじる事故に注意が必要
インコ用保温電球を使用する際は、コードの取り扱いにも十分注意しなければいけません。
コードには、コードをカバーする金属コイルが付いているものがほとんどですが、金属コイルの付いていない部分のコードをインコが齧ってしまうと、感電の危険性があります。
また、齧られたことに気付かずにそのまま使い続けると火災の原因にもなるため、コードの配置にも気を付ける必要があります。
保温カバーの存在感にビビる個体もいる
インコ用保温電球はカバーを付けると案外大きく感じ、インコの中にはその大きさや存在感に驚いて怖がる個体もいます。
設置してしばらくは寄り付かないインコもいるので、最初は様子を見る必要があります。
保温電球(ひよこ電球)が臭い!使い始めの保温電球からにおいが出る時の対処法
保温電球は使い始めの時に、焼けこげたようなにおいが出ることがありますので、一時間くらい別の場所で試運転してから使うことが推奨されています。
ひよこ電球が入っているペットヒーターも使い始めは臭いが出ます。購入したらすぐに鳥の保温には使わず、電源を入れておき臭いが出なくなってから使うようにしましょう。また電球交換した直後も臭いが出なくなってから使うようにしましょう。他のヒーターも同様の確認をお願いします。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) November 8, 2021
臭いが出るヒーター類は全て気をつけた方がよいと思います。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) November 9, 2021
密閉容器がなければ部屋を丸ごとアクリルケースに見立てるしかない【健康な成鳥の話】
アクリルケースにケージを入れればどこであってもほぼ同じ環境を作ることができますが、アクリルケースを持っていない場合はそうはいきません。
そういう場合は ひと部屋を丸ごとアクリルケースに見立てて温度管理をするしかありません。
まずは最高最低温度計で室温とその寒暖差を把握する
最高最低温度計を設置して 室温の状態と1日の中の寒暖の差を把握する …ここから始めてください。
多くの飼い主さんが保温を考え始めるのはいつからか?
それはだいたい最高気温が20℃を切ってくる頃からですから、それ以降の室温と寒暖差を把握することが必要です。
温度管理に無頓着でいたら、飼い鳥の健康管理はできません。
100均の安い温度計では現在の温度しかわからないものばかりですから、温度の「管理」はできません。
1日の寒暖差を把握して愛鳥の健康管理を万全にしたいなら、必ず最高最低温度計を使ってください。
インコの温度計おすすめランキング!選び方とケージ内設置の注意点
どのくらい部屋の温度を上げるか(室温を何度にするか)を決める
室内の温度が把握できたら、あとどのくらいの温度を上げたいのか、室温を何度に設定したいかを決めます。
保温電球のワット数決めの室内温度のボーダーラインは15℃(個人的見解)
集合住宅と一戸建てでは冬の気温の下がり方が全然違いますから、温度をキープする方法もまったく異なります。
エアコンを常時稼働している家庭なら、保温電球は20ワットや40ワットでも大丈夫かもしれません。
それ以外では、電球のワット数を考えるボーダーラインは15℃だと 個人的には考えています。これは植物の生長が止まる温度です。
室内の最低温度が15℃前後なら60ワット電球でもなんとかなるかもしれませんし(あくまで健康な成鳥の場合)15℃を切るなら100ワット電球が良いでしょう。
その鳥にどのくらいの耐寒性があるのかにもよるので「これなら絶対大丈夫!」とは言えませんが、そこは飼い主さんが自己責任で見極めるところです。
ペット用ヒーターだけで保温をするのは至難の業…と心得て
保温電球は確かに小鳥の保温に適した保温器具ではありますが、それひとつで適温をキープするのは至難の業。
健康な成鳥が体調を崩すのは寒暖の差が大きい時期が多いです。
気温が低いことだけで必ずしも体調を崩すわけではなくて、気温や気圧のアップダウンでやられてしまう…これは人と同じです。
だから、そもそも耐寒性がない小鳥の保温はエアコンを使って室温を一定に保ち、そこに補助的に保温電球を併用する方法でないと 鳥の健康維持は難しいでしょう。
でも現実的には…
「うちの子が寒さで体調を崩して病院通いするのは絶対に嫌だから電気代をケチることはしない!」という人より「電気代が気になる!少しでも節約したい」人の方が多数派です。
その辺りのさじ加減は飼い主さんが考えて決めることなので何とも言えませんが、愛鳥の健康を害すほどの節約はほどほどに…。
電気代の節約のために エアコンなどの人間用の暖房器具を使わずに 保温電球をダブルやトリプル使いする人もいますが、 保温電球を必ずケージの外付けにすること 保温カバーの中に埃がたまりやすいので定期的に掃除する(ほこりも一種の可燃物) 電球カバーを壁に近づけすぎないように注意する …の3点にご注意を。
いつも同じ場所を加熱し続けることには低温発火のリスクがあります。
火と同じくらい「熱」も危険因子なのです。
インコ用ヒーター火事と低温発火対策!保温電球の火事を未然に防ぐ話
インコの保温電球のワット数を上げたところで冬の適切な保温はできない
極寒期に保温電球(ペットヒーター)だけで充分な保温をするのは不可能です。
保温電球で温められた空気をキープするには やはりアクリルケージケースのような密閉空間を設けないと無理です。
ケージをアクリルケースに入れ、保温電球・サーモスタットを併用して、ケース内の温度を適温に保つ
この2つのどちらか一方を選ぶことが「安全な保温」実現のための可能な方法です。
鳥種によっては真冬に無加温の室内でも大丈夫だったりしますし、これまでどんな環境で暮らしてきたかによってもそこは大きく変わります。
例えば、オカメインコなら 健康な成鳥であれば真冬に無加温でも元気に過ごせますし、そういう個体は羽毛のコンディションも最上です。
ブリーダー業者の元では気温が氷点下になっても保温などしてもらえません。
繁殖に使われているのは健康な成鳥であるはず。そして家族の一員として大切に飼われているわけではないのできっと長生きできませんが、その寒さだけが原因での落鳥は少ないです。
そのくらい オカメインコは寒さに強い鳥種なのですが、幼鳥の頃から寒さを知らずに温室育ちで過ごしてきたオカメインコの場合は 無加温にしたら一発で体調を崩してしまうでしょう。
オカメインコの例だけをみても、耐寒差はそのくらい大きいものなのです。
何が正解なのかは飼い主さんにしかわからないこと。
うちの子が良い健康状態を保てる ベストな選択をしてあげてください。

子どもの頃に実家にいたオカメインコとの出会いからすでに40年超。未だ彼らへの愛と興味が尽きず「オカメインコ愛好家」の立ち位置から情報発信するyamaki がこのブログの中の人です。
ここには鳥ブログあるあるな「うちの子自慢」や「かわいいでしょ♪アピール」はありません。鳥の飼育本を丸写ししただけの机上の空論解説や、繁殖した雛の販売目的の宣伝PRもありません。鳥と飼い主のQOL向上(健康に楽しく)が目的のコンパニオンバードブログです。
フィンチとインコでは飼育に異なる点がありますが 小型~中型インコには共通項が多いことから、オカメインコだけに限らず中型までのインコ・オウム飼育に役立つ内容を更新していきます。