インコ用ヒーター火事と低温発火対策!保温電球の火事を未然に防ぐ話

インコとリスク:火事・防災お金

低温発火という言葉を聞いたことがありますか?

低温発火とは 文字通り「低温」の「発火」なのですが、一般的な発火の仕方とは異なります。

低温発火による火災で多いのがコンロ横からの出火ですから、コンロと壁材の間には必ず断熱材を取り付けるよう設置基準があります。

コンロを使用していると壁まで熱くなりますよね。コンロの熱が壁材に伝わらないようにしていても コンロにより近い壁材が長時間加熱されることで壁内部で異常が生じているのです。

低温発火は他人事ではありません!インコのヒーター火事を防ぐため、この機会にインコケージの周辺を注意深く観察してみましょう。

今回はそんなお話です。

インコ用ヒーター火事と低温発火対策!保温電球の火事を未然に防ぐ話

インコ用ヒーター火事

一般的な発火は、木材の場合400℃くらいの熱が外部から加え続けられることで発火します。

一方、低温発火は、室温よりやや高い温度でも発火するのです。

低温発火とは?インコのヒーター火事を防ぐためにメカニズムを知っておこう

インコ用ヒーター火事

低温発火は、火がはじめから見えるわけではありません。

なんか煙臭いかな?

…と思って火元を探してもわかりづらい難点があります。

煙や火が見えた時には もうすでに火災は大きくなっていることがほとんどです。

なぜかというと、木材が低温発火するときは木材の内部がすでに燃えている状態だからです。

木材はもともと内部に複数の水分を含んでいます。そこに外から加熱されると木材内部の水分が蒸発し 複数の空洞ができます。

この空洞に酸素が入り込み、再び長時間外から加熱されることにより空洞に入っている酸素が熱をもって溜まり続けます。

結果、空洞が炭化状態になり、さらに加熱されれば今にも燃え出す かなり危険な状態になるのです。

内部が炭化状態になった木材に長時間熱が加わるとついに発火します。

バーベーキューを想像してみてください。メラメラ燃える火ではなくてふんわりと赤い熱をもった炭で食材を焼きますよね。

ふんわり赤い色をした炭が低温発火する木材内部に蓄積しているのです。

インコケージ周辺の木材も低温発火に注意が必要

インコ用ヒーター火事

低温発火がインコケージの周辺でも起きる可能性はゼロではありません。

インコの鳥かごには木材の止まり木を使用しています。鳥が乗って休むステージや巣箱もほとんどが木製です。

インコの生活用品だけではありません。

インコ用ケージとヒーターを長期間ずっと同じ場所…たとえば壁際近くに設置したまま ずっと継続して加熱保温していることは普通にありますよね。

雛や老鳥、病鳥の場合は 元気な成鳥よりより強めの保温が必要になりますし、保温電球に誤って乗らないよう、保温電球の近くに板などを設置していることがあるかもしれません。

保温電球はパネルヒーターより保温効果が優れているがゆえに 可燃性のものが近くにあると低温発火するリスクがあります。

https://twitter.com/sinichi_conao/status/1320276901210902528?s=20&t=9EzogA9MOss0D-fvTwTl_w

あと、これは低温発火ではないですが「可燃性物質」は周辺の「もの」に限りません。

保温電球のカバーの中にほこりや羽毛、ゴミなどがたまったいるところで加熱するのも危険です。

保温カバーは時々分解して、中を掃除する必要があります。

ちなみに保温電球は火事の原因以外にも、破損にも注意しましょう。

保温電球は長時間使用しているとガラス部分は手で触れないくらい熱くなり、その状態の保温電球に水が触れると割れてガラスが飛び散ります。

保温電球のメーカー側も水の近くに置かないことを推奨していますので、インコの飲み水から遠い位置に保温コーナーを作るなど工夫してみてください。




木材の低温発火温度は保温電球の表面温度よりもはるかに低い!

インコ用ヒーター火事

具体的に木材の低温発火は何度くらいで発火のか?

一般的な発火は火種があり、220〜264℃で引火します。

火種がない場合では260〜416℃程度の温度が引火に必要ですが、低温発火はこんなに高温でなくても引火するのです。

木材の低温発火温度は、100℃前後です。

では100℃以下なら低温発火はしないのかというと、100℃以下でも低温発火する可能性は十分にあります。

例えば、木材の表面温度が80℃だとしても、木材内部に蓄熱された温度は80℃以上になることがあります。

この状態でもさらに外から加熱され続ければ 発火する可能性はあるのです。

室温をわずかに越えるくらいの低温でも長時間加熱されると内部の温度は上昇して低温発火する恐れがあるので注意しましょう。

保温電球の表面温度は  60wの場合、最大180℃  100wの場合、最大で220℃

保温電球カバーをつけるとカバー表面温度は50~60℃程度ですが、中の電球はここまで高温になっていて 絶え間なく放熱し続けています。

保温電球が木材の近くにあって加熱され続ければ 低温発火する可能性はゼロではないということを覚えておいてください。




ペット用品周辺の低温発火対策はどうすればよいのか?

インコ用ヒーター火事

では、ケージの周辺などの木材が低温発火しないためには、どうすればいいのか?をみていきましょう。

ここで紹介する方法はあくまで一般論的内容であり、絶対安全・確実とは言い切れません。充分な注意を払う自己判断 及び自己責任での実践をお願いします。

【基本】熱源と可燃物の距離を離す

まず、保温電球のような熱源と木材のような可燃物との距離を取りましょう。15cm以上離せれば理想的です。

もしも距離が十分に確保できないときは、遮熱材を熱源と可燃物の間に入れ、可燃物に熱が伝わらないよう熱を遮断させるのが効果的です。

遮熱材は遮熱シートが手軽に手に入ります。

プラスチックやアクリルは熱に非常に弱いので、保温電球などの熱源のすぐそばに置くのは避けましょう。

木材の表面温度を時々計測して様子をみることも有効

木材の表面温度をこまめに測るのも、低温発火の予防になります。

人間用の非接触型の体温計で計測が可能ですので、保温電球が当たる場所の温度をこまめに測るとより安心できます。

保温電球にサーモスタットを併用する

保温電球の場合、設定温度になると電源が自然と切れるサーモスタットを併用する方法も有効です。

サーモスタットを併用することで、高温で長時間加熱されることはなくなります。

保温電球を低電力にする

インコ用ヒーター火事

低い電力の保温電球を使う方法も対策のひとつであり、高い温度の保温電球より低温発火のリスクは確実に減ります。

ただし、保温電球は低い電力でも表面温度が150℃前後になりますので

インコがヒーターに直接触れればやけどする…保温電球のカバー表面は50~60℃でも 暖を取りたいインコが保温カバーの上に直接乗ることで足を低温やけどするケースが後を絶たない。からだの羽毛の厚い成鳥なら、カバーの近くに寄り添うくらいでは 足以外の部位をやけどする可能性は低い(が、注意は必要)
木材を長時間加熱し続ければ低温発火の可能性がゼロではない。

これらの可能性を常に念頭に置く必要があります。

ヒーターの位置が移動していないか時々チェックする

保温電球が正しい位置に設置されていても 保温電球のコードが動く状態であれば、何かのきっかけで保温電球が木材に近づいてしまうことがあります。

インコのいたずらでよくあるのがコードのいたずらです。

コードの噛みちぎりによるショートだけでなく、ヒーターが倒れたり傾いたりすることもよくあります。

インコがコードをつついているうちにヒーターが倒れ、床材が焦げてしまった事故事例もあります。

保温電球のようなペット用ヒーターが火災に至る直接原因になることは少ないのですが、インコの思わぬ行動で火災の原因になることは十分にあります。

すでにインコにコードをかじられたり、引っ張られることのないよう配慮している飼い主は多いと思いますが、念のためコードが動かないかを今一度確認しておきましょう。

それが火災防止だけでなく、インコの安全を守ることにもつながります。




ペットに火災保険は適用可能?火事の心配がないペット用暖房器具など1つもない!

インコ用ヒーター火事

ペットに関連した出火には、最悪の火災まで至らなくても周辺のものが焼けこげたり、その時に発生したガスを吸って鳥が亡くなった等、「火」から派生した事故も多発しています。

また、ここまで保温電球の火事に焦点を当てた話をしてきましたが、ペット用ヒーターで注意すべきなのは保温電球だけに限った話ではありません。

パネルヒーターでも同様の事故が起きていますので十分な注意が必要であり、そもそも論としては

火事の心配がない暖房器具でペット用の安心できるものなんてひとつもない!

…と考えておいた方が間違いないです。

低温発火ではありませんが、こんな火災事例もありました

ペットによる思わぬ火災が発生しています。また、ペットを飼っていない家庭でも、ネズミや鳥などの小動物やゴキブリなどの害虫が引き起こす事故も発生しており、注意が必要です。

NITE(ナイト)が収集した、平成24年度から平成28年度の製品事故情報のうち、ペット及び小動物や害虫による事故は78件(ペットの事故26件、小動物や害虫の事故52件)となっており、そのうち約72%、56件が火災に至っています。

■飼い主が不在時に、室内で飼っていた猫がガスこんろのスイッチに触れ、こんろが点火し、製品及び周辺を焼損した。(平成28年4月、埼玉県)

■室内で飼っていた猫がファクシミリに尿を掛けたため、内部の電気部品でトラッキングが発生し、製品及び周辺を焼損した。(平成28年4月、千葉県)

■ネズミが冷蔵庫の電源コードをかじり、断線させたことでショートし、火災が発生した。(平成28年7月、徳島県)

■エアコンの中に侵入したゴキブリが内部の電気部品に接触してトラッキングを起こし、火災が発生した。使用者はやけどを負って重傷。(平成25年3月、神奈川県)

引用元:独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター

インコ用ヒーター火事

火災の原因がペットの場合でも、故意でないケースであれば火災保険で補償される可能性はゼロではありませんし、ペットが原因による汚損・破損でも火災保険が適用されたケースもあります。

火災保険の適用は保険会社の裁量次第ですので「絶対に補償されるもの」と断言はできませんが、インコ・オウムも犬猫並みにいろいろやらかすことがあるのは飼い主さんならよくご存じでしょう。

また、火災保険を「火災」が起こったときだけ補償してもらえる保険だと思い込んでいる方は多いですが、それは違います。

火災保険は住まい全体に対する万一の備えであり、モノや設備の破損・汚損の補償にも対応しています。

そういった幅広い補償について何も知らないままに火災保険に加入しているのは、非常にもったいないです。

知らないから保険会社に申請しない⇒当然もらえるものをもらってない…など、どこかで損してるかもしれませんよ。

この機会に ご自身が加入している火災保険について再確認してみることをおすすめします。