インコ用ヒーターでよく使われているのは 保温電球 パネルヒーター の2種類です。
保温電球のほうがパネルヒーターより火災のリスクは高いですが、パネルヒーターも絶対安全とは言い切れません。
パネルヒーターも使い方によっては火事になる危険性はあります。
今回はインコ用ヒーター火災の予防策と保温電球のワット数にまつわる誤解についてのお話です。
インコ用ヒーター火事の予防策と保温電球のワット数の過信は禁物な話
パネルヒーターに布や紙が直接触れても石油ストーブのようにすぐに引火することはほとんどありませんが、スプレー缶など引火物が近くにあるととても危険です。
現実問題として、インコ用ヒーターを正しく使っていても(自分には何の非がなくても)火にまつわる事故が起こらない保証はないと思っていて間違いありません。
サーモスタット付きのヒーターが焦げていたケース
インコがコードをかじって火花が散ってびっくり!
ヒーターの電源を入れたらインコがかじった箇所が焦げて手が真っ黒になった
ペット用ヒーターをお使いの方へお伝えしたい事が有ります。どうかコードは何かで覆って下さい。ペットが噛んでショートしないように…。私はそれをしなかったために今年1月に3羽の大切なインコ達を火事で亡くしてしまいました(´;ω;`) pic.twitter.com/wHopcrfV5Y
— とみ姉 (@nosin_fble) October 21, 2020
【情報提供】
SANKO E55サーモスタット付きのヒーターを使ってましたが匂いとともに焦げ跡が残りました。幸いうちの子は元気そうです。もし同じものを使用している方がいたら、こまめの確認と人がいない間の使用は避けた方がいいと思います。(補足あり) pic.twitter.com/Pe2rJZ6Nut— まいける@大福(文鳥) (@mikel10daihuku) January 16, 2022
インコがコード類を噛んでショートして事故が起こった事例が特に多いですが、一般的に「安全」と思われているパネルヒーターでも火事や事故につながったケースがけっこうあります。
一歩間違えれば火災になっていたかもしれないヒヤリハットは日常的に起こります。
だからといって過度な心配はいりませんが、
…と念頭に置いておくことは大事です。
インコ用ヒーターで火事を起こさないための工夫
コードの断線・経年劣化・配線をチェックする
インコ用ヒーターの事故で多いのは やはりインコのコードかじりによるものです。
コードに触らないようなしつけはできないので、インコとコードを物理的に遮断するしかありません。
ペットヒーターから火事、のツイートを見てマメの住処を少し再改造しました。コイルしか見えない仕様です。
実は先月頭、うちのマメ(よつば)がサーモスタットのセンサーの皮をツルンツルンに剥きまして(左が原型)誤飲しなかったかと心配してた所でした。ショートの可能性もあるし怖いね…。 pic.twitter.com/z4rVQhrbKy
— えまり (@p_on_p) October 25, 2020
コードからの出火はインコのいたずらだけではありません。
長年使用している古い機種のヒーターでも火事のリスクが上がります。
コードの経年劣化や断線した状態では感電・漏電の危険性が高まるので、コードの状態もこまめにチェックしましょう。
延長コードやたこ足配線でインコ用ヒーターを取り付けるのもとても危険ですので、コンセントも正しく使用してください。
放熱するものの近くに可燃性物質を絶対に置かない
インコ用ヒーターに限ったことではありませんが、熱を放つものの近くに可燃性のものを置かないことも火事のリスクを下げる絶対条件です。
保温電球の周辺も熱くなりますので、上記の可燃性のものが近くにあると、引火したり、変形する恐れがあり危険です。
パネルヒーターでも表面温度が30~70℃になりますから、ガスボンベやヘアスプレーなど引火性のあるものに当たり続ければ危険です。
パネルヒーターだから安心…と思わず、周辺はすっきりさせておくことをおすすめします。
おやすみカバーと保温電球の併用は推奨されていない!
夜間、おやすみカバーを使用する場合も多いと思いますが、このような布を使用するときは、インコ用ヒーターとの間に5cm以上の隙間を作ることが必要です。
インコ用ヒーターに布がかかった状態では、火事のリスクはもちろん、インコが酸欠や脱水になる恐れがあります。
夜間におやすみカバーを鳥かご全体にかけたら翌朝愛鳥が脱水症状を起こして 水をがぶ飲みしていた…という事例もあります。
ケージのおやすみカバーを販売しているHOEIでは、取扱説明書にこのように明記しています。
おやすみカバーとバードヒーターは併用できますか?
カバーの変形や火災の原因になりますので、暖房器具との併用はお避けください。やむを得ない場合は、サーモスタットなど温度管理できる器具をお選びください。生体や本品から一定の距離を保てる場所に熱源を設置し、生体の様子に十分留意したご使用ください。ケージ内部の温度が上がる場合は、前部分を開けて調節してください
引用元:HOEI
プラケースとヒーターの併用も推奨されていない
雛や病鳥・老鳥をプラケースに入れてお世話している方も多いですが、プラケースも同様にプラケースメーカーが プラケースと熱源との併用に警鐘を鳴らしています。
その点をあまり気にしないで使っている人が多いかもしれませんが、プラケースは元々「虫かご」ですから、ヒーターを併用する前提のものではないですし、そもそもプラスチック自体が耐熱温度が低いですから、保温して使っていることに疑問を持たないのは危険です。

ヒーターと壁や木材の近づけすぎはNG 【低温発火】
インコ用ヒーターと壁や木材の間には必ず適切な距離が必要です。
鳥かごを木製ラックに置いている人もいると思いますが、インコ用ヒーターを正しく付けていても、ラックとの隙間がほぼない状態では ラックが焦げる可能性は十分にあります。
木材は、長時間加熱されると木材の中から火が出る「低温発火」が起きる可能性があるからです。
壁も木製ラックと同じように低温発火に注意が必要なので、インコ用ヒーターとの距離は十分に取ることが必要で、距離の目安は15cm以上が理想的です。
十分に距離が取れないときは、インコ用ヒーターと壁やラックの間に遮熱シートを置くと火事のリスクは下がります。

アクリルやプラスチックはヒーターの熱で溶けやすい
保温効果を高めるために鳥かご全体をアクリルケースやプラスチックで囲っているかたも多いですよね。
これらは優れた保温効果を発揮してくれるのですが、熱に非常に弱い特徴があります。
アクリルは60~65℃で溶けますし、プラスチックやビニールなどもほぼ同様です。
ビニールに至っては溶けて有毒ガスが発生することもあり、インコの命にかかわることもありますので、特に注意が必要です。
ビニールを使う「なんちゃって保温」では寒いうえにインコが死ぬ可能性もある!
アクリルケースを使うならヒーターをケージの外付けにした状態で丸ごと収納できる「ワイドタイプ」のアクリルバードケージがおすすめです。
プラケース住まいの鳥に強めの保温が必要なときには プラケではなくガラス水槽での飼育がおすすめです。
ガラス水槽は保温効果や耐熱性に優れていますので、プラケースよりも安心です。

ヒーターのこまめな掃除も火事を防ぐために必要
火災や事故の予防のためにはインコ用ヒーターはこまめな掃除も必要です。
保温電球にはカバーがありますが、そのカバーを外したことはありますか?
カバーの中は意外とほこりやゴミがたくさん溜まっています。
コンセント付近のほこりに引火して火事になるケースは実際に多く発生しており、インコ用ヒーターの保温電球も例外ではありませんので、こまめにカバーを外して中をチェックしてみてください。
インコ用ヒーターからの火事を防ぐには、愛鳥と同じように常に気にかけ、こまめなメンテナンスを行っていきましょう。
インコの保温を万全にする方法!ヒーターのワット数を上げても足りない理由は?
季節や住んでいる地域や 飼っているインコの種類や耐寒温度、年齢ステージなど、異なる条件の下ではひとくくりにして「無理!」とは言い切れませんが…
といってもインコ用ヒーターひとつで真冬の寒さを乗り切るのは難しいケースの方が圧倒的に多いです。
保温が不十分でインコを死なせてしまうケースが後を絶たないのですが、そういう飼い主でもこのことにうすうす気づいている人はいるでしょう(だけどこれしか使わない人も多いですよね)
健康な成鳥なら問題なく冬を乗り切れるかもしれませんが、雛鳥と老鳥は本当に温度管理がキモ…つまり命がかかる大事です。
特に雛は 温度管理が不十分なせいで死なせてしまうケースがかなり多いのが悲しい現実です。
インコヒーターのワット数を上げても不十分!100ワット電球でも足りないの?
…と思う人もいると思います。
しかしそれは保温電球の能力を過信しすぎというもの。
例えば100ワットの保温電球を密閉型の容器…アクリルケース(W60×D45×H45cm)に入れて使用した時、内部の温度がどのくらいになるか、知っていますか?
答えは外気温+15℃です。
室内の温度が10℃ならやっと25℃くらいになる計算ですが、25℃では28度前後の温度が欲しい幼鳥・老鳥・病鳥には足りません。
でもこれはアクリルケースという「密閉容器」の中にケージを入れたときの話ですから、アクリルケースがなかったら外部に放熱されて せいぜい+5℃とか…微々たるものなのでは…?
冬の夜間に暖房を切って無加温状態にすれば、集合住宅以外の戸建てなどでは10℃を切るのが普通ではないでしょうか。
我が家では冬の無加温の部屋は5℃を切ってしまうことがほとんどなので、アクリルケースに入れて100ワット電球をつけたところで おそらく内部は20℃行くか行かないかくらい…つまり雛や病鳥では耐えられない温度です。
そこにおやすみカバーやブランケットをかけたところでたかだか「布1枚」では気休め程度。その程度で保温ができるなら、そもそもヒーターなど要りません。

また前述のとおり、HOEIのおやすみカバーでさえ 暖房器具との併用を推奨していません。
保温電球にパネルヒーターを併用してもやはり気休め程度の保温にしかなりません。
その理由は加熱が弱いからではなくて、温かい空気を呼吸で取り込んで体を温める鳥類には、寄り添い型のヒーターはそもそも「保温」にはならないからです。
これでは雛や病鳥の状態が悪化の一途をたどるのは当たり前で、残念ながらそんな管理をしていては治るものも治りません。
わざわざ言う必要もないと思われるこの事実を あえて書き留めておく必要があると思って記事にしました。
安全かつ万全な保温はエアコンメインにインコ用ヒーターのスポット使用がおすすめ
雛や病中病後・老鳥の冬の管理でいちばんおすすめな保温方法は、インコ用ヒーターのみに頼らず、エアコンを併用することです。
エアコンで部屋全体を一気に暖め、補助的にインコ用ヒーターを使用するなどの工夫すれば、電気代も時間も節約できることがあります。
特に最近のエアコンは省エネタイプも多いですから、古い機種を使っていて電気代を気にしているなら、思い切って買い替えてしまうのも一つの方法です。
エアコンの設定や室内の広さにもよりますが、部屋の温度を適温にして一定にキープできるなら、アクリルケースを利用しなくても大丈夫なこともあるでしょう。
エアコンなら安全に一定温度をキープできますので、寒暖の差に耐えられない事情を抱えたインコの体にとって もっともやさしい保温になることは言うまでもありません。
それに…なんだかんだ言っても 人の生活空間には可燃物があふれているものではないですか?
室内がガラーンとしているミニマリストなんて、かなり少数の一部の人だけですよ。
そこで生活してるんですから物が多かったり、あふれ返っているなんて珍しいことではなくてごく普通のこと…だから断捨離なんて言葉も登場してブームになったりするんです。
つまり生活空間は可燃物だらけ。『インコの保温!』の大義名分のために 保温器具を稼働させたケージ周辺を可燃物で囲ったりすれば、火災のリスクは上がって当然。
エアコンをメインにして部屋の温度を上げて そこにインコ用ヒーターを部分的に併用するならば、必死になってケージ周りを囲う必要もなくなりますから、飼い主もインコも安全です。
インコ用ヒーターの取り扱いには十分に気を付けつつ、愛鳥を守る配慮をしていきましょう。
子どもの頃に実家にいたオカメインコとの出会いからすでに40年超。未だ彼らへの愛と興味が尽きず「オカメインコ愛好家」の立ち位置から情報発信するyamaki がこのブログの中の人です。
ここには鳥ブログあるあるな「うちの子自慢」や「かわいいでしょ♪アピール」はありません。鳥の飼育本を丸写ししただけの机上の空論解説や、繁殖した雛の販売目的の宣伝PRもありません。鳥と飼い主のQOL向上(健康に楽しく)が目的のコンパニオンバードブログです。
フィンチとインコでは飼育に異なる点がありますが 小型~中型インコには共通項が多いことから、オカメインコだけに限らず中型までのインコ・オウム飼育に役立つ内容を更新していきます。