サザナミインコの飼い主の寄稿
2016年のある日、誤飲が原因で
一時期危険な状態になったサザナミインコが
手術を経て元気になったときの話です。
サザナミインコの誤飲事故!?そのうの異物の除去手術体験談
サザナミインコのぴよちゃんは当時8歳。
その異変は6月の夕方の放鳥中に
突然起こりました。
ぴよちゃんが、突然吐き始めたのです。
頭を振りながら鼻水状のよだれを
吐き出していましたが、
しばらくすると吐き気はおさまり、
自分からケージに帰っていきました。
病院の検査の結果 そのう周辺に異物が溜まっているとわかり…
一夜明けて翌朝、
ひと目で元気がないとわかる
状態になってしまったぴよちゃんは、
朝から床にうずくまっていました。
動作は鈍く
どこから見ても元気がありません。
ため糞は水っぽく濃い緑色で量が少なく、
ひと目で絶食便だとわかりました。
触診や、採血、レントゲン、
便の検査などひと通りした検査の診断は、
…というものでした。
流動食の強制給餌と経過観察のために入院することになったものの…
最初の治療方針は、ぴよちゃんの様子を観察しながら
…というもので、そのために即入院をすることになりました。
夕方に再び病院を訪れたときには
ぴよちゃんは少し元気になっているように感じました。
…と言われました。
…ということになり、不安な気持ちのまま、再び家に帰りました。
インコのそのうの切開手術!?こんな小さい鳥にも手術が出来るんだ…
翌朝、再びぴよちゃんに会いに行くと、
また元気がなくなってきているのが
見て取れました。
レントゲン写真を見せてもらったのですが、
そのうの異物はそのままで、先生曰く、

このままそのうと食道の間に詰まったものが落ちなければ、ぴよちゃんはいずれ死んでしまう。これ以上出来ることがないなら、家に連れて帰って最期までずっと一緒にいてあげた方がいいのでは…!?
そんな最悪のイメージをしていた私に、
先生はこのように話を続けました。
私は、この続きはきっと
こんな言葉だろうと思い、
それを聞く覚悟を決めていたのですが…
思ってもみなかった先生の提案に
私の思考は一時ストップ。

こんな小さい鳥に手術が可能なの!?
先生は、あっけにとられている私の様子を
「飼い主は手術に否定的」と勘違いしたようでした。
…という意味のことまで話す先生。

うわあ…これは私が「手術なんて無理!と考えているだろう」思っていると勘違いされているな。
…と思った私は、
…と、ギョッとした理由を
慌てて釈明しました。
手術をするならまだ体力を温存できている「今」がチャンスだ!
先生の考える手術は、
…というものでした。
私はこれまでの経験から、
この先生はリスクについては非常に慎重で、
過剰と思えるほど丁寧に
説明をする方だと知っていました。
その先生が
「必ず大丈夫であるとは言えないけれど…」
…と言いながらも、
異物を取り除くこと自体には
ほとんど不安を持っていない様子。
むしろリスクは、
私はすぐにきっぱりと
と先生に伝えると
…と言った後で、
とても申し訳なさそうに
その金額は私には
(信じられないくらい)
良心的なお値段でした。
そのうの切開手術成功から3日間の入院を経て退院へ
その日の夕方、病院から電話がありました。
(事前に立ち合いは難しいと言われていたので)
無事手術が終わって
ぴよちゃんも元気との知らせを聞き、
私は急いで病院に向かいました。
ケースの中のぴよちゃんは
すっくと立ち上がっており、
その生き生きとした表情や動作から
元気になったことがひと目で分かりました。
その姿がただただ嬉しくて、
先生には感謝の気持ちしかありませんでした。
その後はシードと流動食を併用し、
温度管理も万全な病院で3日間
預かってもらった後に
無事退院となりました。
うちに帰ったぴよちゃんは
すぐ自分のケージに戻ったのですが、
その時の光景は今もはっきり覚えていますし、
思い出すと涙が出ます。
ぴよちゃんは一目散に
お気に入りの止まり木にいくと、
何度も何度も愛おしそうに
その止まり木に顔をすり寄せたのです。
頬ずりするぴよちゃんを見たのは、
このときが初めてでした。
退院前に先生から何度か
…と言われたその意味が
そのときにやっと分かった気がしました。
この体験で学んだこと・肝に銘じたことは「事故は100%飼い主の責任」
今回のトラブルの原因は「誤飲」でしたが、
誤って飲み込んでしまった「異物」が何だったのかは、
手術により流れ落ちてしまったので
分からなかったそうです。
先生にそのうと食道の間に
何かが詰まっていると聞いた時、
けっして「私のせいじゃない」
という気持ちからではなくて、
異物が何か?
皆目見当がつかなかった私は
…と言ってしまったのです。
ここまで8年間のおつきあいや
それまでの関わりから、
私が先生に対して常に「教わろう」
という姿勢でいたことは、
おそらく先生はお分かりだったと思いますが、
それでも患者(ペット)ファーストの
スタンスを決して崩さない先生は
私にこう言いました。
その言葉に私はハッとして
そう言われたとき、
ただ単にお客さん(飼い主)を慰める
…つまり耳障りの良い言葉だけを選ぶ獣医でなくて
本当によかった…とも思いました。
このことがあってから、
これまで「ずっと大丈夫だったこと」にも
気を配るようになりました。
それでも100%完璧に安全な環境を
作ることは出来なかったと思いますが、
それに近づけようという気持ち、
過信してはいけないという気持ちは
持ち続けられたと思います。
何より先生に助けてもらった命、
ぴよちゃんが頑張り続けてくれた命を、
軽々しく考えられるはずもありません。
事故は気づかぬうちに、
それも一瞬で起こります。
飼い主さんには自身で考えうる限りの
対策を講じてからケージを開けて欲しいと思います。
そして放鳥中は愛鳥から目を離さないこと。
当たり前のことかもしれませんが、
毎日のこととなるとついつい気も緩みます。
「自分自身で共に暮らすことを選択した」鳥さんと、
少しでも長く一緒に過ごすための「習慣」として、
日々この意識を繰り返して持ち続けていきましょう。