林泰男 (小池泰男) 死刑囚…オウムの殺人マシンはサリン3袋を4回突いた

林泰男 小池泰男 オウム死刑囚 逆さに吊るされた男

サリンパックを3つ携帯した「殺人マシーン」

 


 

1994年6月27日、長野県松本市の住宅街で 殺傷能力の高い毒ガス「サリン」が散布され、8名が死亡、重軽傷者580名以上(650名以上という報道も)という大惨事が起きた。

その後、1995年3月20日に発生した地下鉄サリン事件の実行犯たちが 松本サリン事件もオウム教団による組織的な犯行だったと自供したことで、オウム真理教事件が明らかになった。

そして松本サリン事件は教団支部の設立を巡って地元民との間のトラブルからオウムは提訴されており、裁判官や反対派住民を地域住民もろとも殺害しようとしたものと判明。

そのときに使用されたサリン噴霧器を作成したスタッフの一人が林泰男(小池泰男)死刑囚だった。

さらに地下鉄サリン事件では、林泰男は散布の実行役として参加した。

オウム教団への忠誠心が高い林泰男は事件3日前に正悟師に昇格し、他の実行犯よりも多いサリン袋を3つ持ち、傘の先で4回突いた…このイメージから、林泰男は「オウムの殺人マシーン」と呼ばれたのだ。

地下鉄サリン事件の死者は13人だが、林泰男がサリンをまいた車両内では事件最多の8名が死亡している。

地下鉄サリン事件後、林泰男はしばらく逃亡を続け、1996年12月3日になって沖縄県石垣島で逮捕されている。

他にも林泰男は 新宿駅青酸ガス事件の見張り役として犯行に加担していた。
 
 
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逆さに吊るされた男

 

確定死刑囚には、限られた数人の者のみが「外部交流者」として面会することが許される。

地下鉄サリン実行犯の死刑囚Yとの外部交流者となった作家・羽鳥よう子を主人公とし、彼女の視点から綴る形で描かれた田口ランディ氏の小説『逆さに吊るされた男』と出会えたことは私にとって大きかった。

田口ランディ氏といえば、引きこもりの末に衰弱死し、腐乱死体として見つかった兄を描いたベストセラー私小説『コンセント』を思い出す人も多いことだろう。

死刑囚Yも、『コンセント』を読んで彼女を好きになり、外部交流者に指定したという経緯が本書中に描かれている。

「この小説は、実際に起こった事件を題材にして書かれたフィクションです」と巻末に注があり、どこまでが著者の実体験なのかという線引きは難しいが、一読の価値がある小説だ。

「警察も、マスコミも、世間も、間違った解釈でオウム真理教事件を過去のものにしてしまった。Yとの出会いは運命。私だけが、事件の真実に辿りつけるはず」

関係者に会い、教義を学んだ主人公、羽鳥よう子の視点から語られる事件の考察は、我々世間の解釈に大きな風穴を開ける。

世間からは「殺人マシン」とまで呼ばれた死刑囚Y。

獄中の彼は礼儀正しく、穏やかで、几帳面な男だという。

タロットカードの絵札の12番、「吊るされた男」はとても奇妙な図柄のカードで、Yはこの絵札の男にそっくりだと本書では語られる。

事件の実行犯の中では最多の8人を殺害したYは、サリンの入った袋を“複数回”傘で強く突いて破ったその犯行の様子から、「殺人マシン」とマスコミによって命名された。

しかし、「実行犯は『サリンの袋を突くのは“1回”のみにしろ。穴が少ないほうがじわっとサリンが染み出して被害が大きくなる』という指示を受けており、他の実行犯は皆1、2回突いていた」という事実も浮かび上がってくる。

「善良なマスクの下に隠された凶暴性に突き動かされてメッタ刺しにした」というマスコミが構築した単純明快なストーリーとはかけ離れた複雑な背景の存在が本書には描かれている。

地下鉄サリン事件とオウム真理教を深追いするあまり、徐々に不安定になっていく主人公。

彼女の視点から語られる事件の考察は、人がいかに「見たいものだけを見て」いるかということに気付かせてくれる。

著者が込めた熱が読む人の心に迫ってくる作品である。
 

田口ランディ 河出書房新社 2017-11-11
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