五嶋みどりのタングルウッドの奇跡!葉加瀬太郎の魂震える伝説の演奏

ヴァイオリン

日本一有名な、そして日本を代表するヴァイオリニスト、葉加瀬太郎さんの魂が震えるほど感動した伝説の演奏は 14歳の天才少女が起こした奇跡です。

葉加瀬太郎
音楽界では、「タングルウッドの奇跡」と呼ばれています。

来場者35万人を超える、アメリカ・マサチューセッツ州で開催された「タングルウッド音楽祭」でその奇跡は起こりました。

わずか14歳の日本人の少女が、世界を驚かせる偉業を成し遂げたのです。

葉加瀬太郎
タングルウッドの奇跡はアメリカの教科書にも載っているんです。

天才ヴァイオリニストが、世界の伝説になった瞬間です。

アメリカの教科書といっても、それは音楽ではなくて、国語の教科書に 「絶対にあきらめない」気持ちをアメリカの子どもたちに教える教材として掲載されています。

さらにその少女が成し遂げた偉業は、ニューヨーク・タイムズの一面でも報じられましたが、ニューヨーク・タイムズで日本人が一面を飾るのは、それが初めての快挙だったそうです。 

天才ヴァイオリニスト五嶋みどり

その天才少女の名は、五嶋みどり(ごとうみどり)

彼女がヴァイオリニストとして初めてのその名をとどろかせたのは、小学6年生(12歳)のとき。

1983年、全米生中継のクリスマスコンサートに日本人として初めて出演して、当時のアメリカ大統領(レーガン夫妻)を前に演奏しました。

実は葉加瀬太郎さんと五嶋みどりさんは、同じヴァイオリン教室でレッスンを受けていたそうです。

葉加瀬太郎
みどりちゃんが6歳か7歳のときかな?

僕たちは同じ先生にレッスンを受けた門下生、同門でした。

当時の葉加瀬太郎さんは10歳、後藤みどりさんは6歳。

「みどりさんの印象は?」

葉加瀬太郎
いやいやいやいや、もう、次元が違うんですよ。

目がテン。あっけにとられるほど(レベルが高い)

4歳年上の葉加瀬太郎さんから見ても、五嶋みどりさんの才能はと飛びぬけていたといいます。

葉加瀬太郎
みどりちゃんが演奏するときだけ、発表会の会場がお客さんでいっぱいになるんです。みんな(みどりちゃんの演奏を)見たくて、うわーって来る。

それこそ、最高難度の曲、パガニーニのキャブリスとか、大人がリサイタルで弾いて、最後にうわーっとなるような曲を弾くんです。

五嶋みどりさんは6歳にして最高難度の曲を弾ける超絶テクニックを身につけていました。

超絶テクニック「左手のピッチカート」をわずか6歳でやっていたという五嶋みどりさん。

もはや「天才」以外の言葉が見つかりません。

葉加瀬太郎
いやんなっちゃいますよねえ(笑)
 
 
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五嶋みどり、ジュリアード音楽院に10歳で入学

そんな天才少女を世間が放っておくわけがありません。

五嶋みどりさんはエリート中のエリートだけが入学を許されるアメリカの名門校「ジュリアード音楽院」に10歳で入学しています。

しかも、授業料全額免除の特別待遇での入学でした。

五嶋みどり、13歳でレナード・バーンスタインに見初められる

その後、数々の一流オーケストラとの共演を果たす中で、タングルウッドの奇跡に関わる世界的音楽家との出会いが訪れます。

1985年8月6日、原爆投下から40年の節目ということで、広島平和コンサートが開かれました。

その目玉として招かれたのが、世界的音楽家 レナード・バーンスタイン

たくさんの有名交響楽団の名誉指揮者を歴任した世界的音楽家で、映画「ウエストサイドストーリー」などの名曲を生み出した作曲者としても知られているバーンスタイン。

バーンスタインは「20世紀クラシック界の神様」とあがめられるほどの大音楽家です。

バーンスタインがたまたま広島で目にしたのが、コンサートのためにアメリカから帰国していた 13歳の五嶋みどりさん

五嶋みどりさんの演奏を見たバーンスタインは衝撃を受けました。

バーンスタイン
13歳の子どもとは思えない。

普段はぬいぐるみを抱えているのに、彼女は想像を超えている。

五嶋みどりさんの演奏に一目ぼれしたバーンスタインは、コンサート後にみどりさんの元を訪れ、こう言ったそうです。

バーンスタイン
私は来年、タングルウッド音楽祭で指揮をとるのだが、ソリストとして演奏してくれるかい?

ソリストというのは、ソロパート担当の、オーケストラの中で唯一独奏パートを担当する花形です。

当時13歳の五嶋みどりさんが、世界的音楽家バーンスタインのタングルウッド音楽祭のソリストに大抜擢されたのでした。

タングルウッドは世界で最も有名な音楽祭のひとつで、バーンスタインが主催して、世界一流のトッププレーヤーが一堂に集う場所。

この大抜擢だけでも伝説の域に達するほどなのに、それを上回る奇跡が起こったのです!
 
 
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タングルウッド音楽祭とは?

1986年7月27日、タングルウッド音楽祭。

その日の楽曲はバーンスタイン作曲の「セレナード」第一楽章から第五楽章まで、30分以上の大作です。

演奏は、アメリカ5大オーケストラのひとつの名門「ボストン交響楽団」

そこに五嶋みどりさんはソリストとして立っていました。

彼女のうしろには、世界的コンテストで最優秀賞に輝いた強者たちが並んでいます。

そんな大舞台で五嶋みどりさんは、絶体絶命のピンチを迎えます。

演奏開始から25分後・・・あと5分で演奏が終わるというその時に、バイオリンの弦が切れてしまったのです!

ソリストが弾かなければ演奏を止めるしかない危機的状況です。

タングルウッド音楽祭で五嶋みどりの身に起きた2度の大ピンチとは?

バイオリン 弦

あと5分で演奏が終わるというその時、五嶋みどりさんのヴァイオリンの弦が切れてしまいました。

みどりさんが使っていたバイオリンは子供用の小さなもので、会場にはスペアが1台もありませんでしたが、この危機的状況で彼女がとった行動は、後ろにいたボストン交響楽団のコンサートマスターにバイオリンの交換を願い出たこと。

そしてさっと演奏に復帰し、フルサイズのバイオリンで演奏し始めたのです。

交換したのは みどりさんが普段使わないフルサイズの大人用のバイオリンです。

大人用バイオリンを見事に弾きこなしているように傍からは見えたものの 大人用と子供用では 長さがずいぶん違いますから、大人用バイオリンをいきなり弾きこなすことは 普通はできることではないといいます。

葉加瀬太郎
普段、子供用の小さなバイオリンを弾いている子が 本番で一度も持ったことがないフルサイズを持つ。

それもタングルウッドの音楽祭で。ありえないでしょう、普通

バイオリンを交換してもらうことで その場は何とか演奏には復帰できたものの、みどりさんの試練はこれで終わりではありませんでした。

そのわずか3分後、再びバイオリンの弦が切れてしまったのです!

まさかの2回目!最悪のタイミングで2挺めのバイオリンの絃まで切れた!

交換したバイオリンの絃まで切れた!2回目のまさかです。

しかも切れたときのタイミングが最悪でした。

弦が切れた箇所から、みどりさんのパートまでは7小節休み・・・わずか8秒しかなかったのです。

つまり 8秒間の間に違うバイオリンを借りきて、演奏に復帰しなければなりません。

葉加瀬太郎
弦が切れることはたまに起こるんですけど、1曲の中で2回起こるっていうのは・・・

自分だったらどうしているだろう?パニックだよ!

この8秒の間に、五嶋みどりさんは躊躇することなく再び第二バイオリンを交換してもらい、残り3秒、すんでのところで定位置に戻り、演奏に間に合わせることができました!

この瞬間を見ていたバーンスタインは目を見張っていました。

2度のトラブルに見舞われながらも、一度も演奏を止めずに乗り切り、完奏することができた奇跡を見て、演奏が終わったとき、バーンスタインは泣き、思わず五嶋みどりさんを抱きしめていました。

五嶋みどりさんがタングルウッドで示したものは、世界的な演奏技術だけでなく、「何があっても絶対にあきらめない」という強い思いでした。これこそが音楽祭に語り継がれる「タングルウッドの奇跡」です。

ニューヨーク・タイムズの一面には、『14歳の少女、タングルウッドを3つのバイオリンで圧巻』と報じました。

アメリカの子どもたちが使う国語の教科書には、7ページにわたってこう書かれています。

『五嶋みどりは、強い意思をつらぬいて 演奏をやり遂げた』
 
 


 
 
葉加瀬太郎
みどりちゃんはタングルウッドで奇跡を起こしたわけですけど・・・これはたまたまじゃないと思う。

それまでの彼女はハプニングをクリアできるだけの集中力、精神力を鍛えていたんだと思います。

あれから31年がたちますが、五嶋みどりさんは 今もクラシック界の世界のトップを走り続けています。
 
 
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